安達太良キャンプツーリング

２００９年６月６日（土）～７日（日）

福島県二本松市”あだたら高原野営場”にて

発起人：Ｎａｇａ氏

　なにせ突然だったもので、ＨＰから告知いたしませんでした。言ってくれれば参戦したのにという方、申しわけありません。

　６月６日早朝、福島市内は小雨。ランナーズハイの俺は傘をさしながらロードへでる。家に戻るとすぐに携帯がなった。
「今日のキャンプは決行ですか？」
　いわきのヨッシーからだ。

『午後から晴れるようなので決行だよ』
「わかりました。これからキタノさんのお宅へ伺います」

　雨があがってきたので、俺もキャンプ道具のパッキングを開始した。今シーズン最初のキャンプだ。投入するテントは、スノピのトレイルトリッパー２にしよう。

　ゼファーの暖機をしていると、購入したばかりのＢＭで、ヨッシーがやってきた。よく白バイに間違えられるらしい。しかし、本当にＢＭはツーリングに最適なマシンだと思う。

　妻に茶菓の用意をさせ、リビングで談笑した。

　画像はヨッシー、土産の菓子折り、いつもながら申しわけない。気を遣わなくてもよいのに。

　彼は１９９９年の俺の北海道ツーリングへ同行した男なのだが、その後、青年海外協力隊を志願し、ブルガリアへ赴任していった。帰国後の現在もいろいろと画策しているチャレンジャーであった。

　天気は曇天だが、そろそろ行くか。

　途中、大玉村の”鷹の羽”という老舗レストランでランチセットを食べる。たまに利用する店なのだが、千円程度で美味しい料理が堪能できる。

　鷹の羽の駐車場で撮影、確かに白バイに間違えられるかも知れない。

　安達太良山中を駆ける。次第に霧が深くなり雨がぱらついてきた。あだたら高原野営場へ到着する頃には本降りとなる。

　

　キャンプ場には、今回のキャンプ会の発起人であるＮａｇａさんが、すでに到着しており、テントも設営済みでビールを一杯やっていた。

「どうも、お久しぶり」
『こんちは、お元気そうでなにより』

　画像はＮａｇａさんです。

　挨拶もそこそこに俺とヨッシーはテントを設営する。ヨッシーと一緒にテントを張るって何年ぶりだろう？

　そして、雨の中、二本松インター近くのスーパー”ヨークベニマル”へとふたたび走りだした。ヨッシーがキャンプ椅子とかヘッドランプを忘れたそうなので、途中、ホムセンへも立ち寄った。ここで、コンパクトな折り畳み椅子を発見。ヨッシーは躊躇わず購入していたが、つい自分も欲しくなって衝動買いしてしまった。

　だって、298円という破格なんだもの・・・

　その後、スーパーで、俺は焼肉用の国産和牛霜降りと余市のウイスキーをかなり奮発して購った。ヨッシーも魚介類の購入を済ませた。

　外へ出て、ゼファーの方へ向かうと見覚えのあるマシンが停まっていた。

「キタノさん、遅いですよ」
『あっ、いちさんではないですか』

　偶然出くわしてしまった。お元気そうな様子で本当になによりです。

　画像はいちさんです。

　３機で、あだたら高原野営場へ引き返す。雨で路面が濡れていた走りづらかったが、あっという間にキャンプ場へ戻った。

　すると、このページ冒頭のＭＳＲのパビリオンがそびえ立っているではないか。つまりｍａｃさんも到着していた。本当に雨天のキャンプ会で、パビリオンに勝るアイテムなど存在しない。非常に助かります。

　

　左画像の野営料理の達人ｍａｃさんへ挨拶を済ませるとビールタイムとなる。そして、笑いの耐えない延々と長くて楽しい宴が続いていくのだ。

　世の中にキャンプほど痛快無比なことはない。

　雨もまた延々と降り続けていた。

　Ｎａｇａさんがたこ焼き用の鉄板を取り出し、粉を水で研ぎ始めた。具も丁寧に刻んでいる。しかし、キャン会でたこ焼きか。

　少なくても俺は目にしたことがない。さすが業師！

　ｍａｃさんもやや離れた位置で、いつものように手の込んだ料理に専念し始めていた。俺もこうしてはおれん。ピラミッドグリルは当然持参しているが、いちさんが焚き火台（やはりピラミッドグリル）をセッティングしてくれたので、お借りすることにした。

　ヨッシーの買ってきた魚介類をまずさばくことにした。最初はホタテだ。サバイバルナイフを取り出そうとしたら、ブルガリア製のナイフをヨッシーから手渡さた。遠慮なく借りたけど、なんだか今回は借りてばっかりの展開だぜ。

　ホタテに小刀を通すと、まだ生きている。ギュッ、凄い力で蓋を閉められ、ナイフが挟まれた。だが、次第に弱ってきて観念した様子だ。すまねえ、美味しく調理して残さず食べるから赦してくれたまえ。そんなことを考えながら、網の上に次々と乗せて行った。しかし、ブルガリア製のナイフは、よく切れるねえ。

　その頃、会津若松からリョウちゃん登場。彼は四輪で登場した。新婚なのにお呼びたてして申しわけない。彼は鶴乃江酒造”会津中将”の吟醸酒と濁り酒を差し入れてくれた。これは銘酒中の銘酒である。

　ちなみにヨッシーくんもリョウくんも７年ほど前、福島県の浜沿いの小さな街の職場に勤めていたときの後輩である。本当に最高に居心地のよい環境だった。

　おっと、ホタテが煮えてきた。マイ醤油で味つけをしたけど、できれば酒をひとたらししたいところだ。

　非常にもったいないことなのだが、リョウちゃんが持参した会津中将をちょっぴり隠し味で使わせてもらい完成する。皆さんへお配りすると”旨い”となかなか好評だった。

　続いて、店頭に並んでいたときから、上部が剥がされていた怪しい貝、種類はなんだろう？とにかく醤油をたらして焼いてみる。どうやら、小型のホッキ貝のようだ？

　でも、炭焼きホッキ？もまあまあ美味だった。続いてキタノの国産和牛の霜降りを炙った。ところが霜降りの脂が炭に落ちて、炎たってしまう。味つけは、ｍａｃさんからクレイジーソルトをお借りする。借りてばっかりで面目ない。

　ア～チィチィ♪

　調理中のｍａｃさんが、トングで網を上げてくれたので、虎口を脱出。さすがに霜降り肉の炭焼きは絶品である。

　そして、Ｎａｇａさんのたこ焼きも完成。その美味さとこだわりは、完全に素人の域を超えていた。たこ焼きって、こんなに美味しいものなんだ。

「もしもし、今、キタノさんへ代わるね」
　いちさんが、携帯で誰かにＴＥＬしていた。
『こんばんは、キタノです』
「初めまして、おかちゃんと申します。ホームページ、いつも楽しみに拝見しております」
『それはありがとうございます。いつの日かお会いしましょう』
　俺は、そう言って携帯をいちさんへ返した。
「おかちゃんは、キタノさんを怖い人だと思って、今回のオフを断念し、那須のキャンプ場でひとりの野営を決行しているみたいだよ」
　いちさんやＮａｇａさんは噴きだしていた。先日、いちさんやＮａｇａさん、そして、ｍａｃさん夫妻と黒部キャンツーへ同行した方らしい。

　昨今の俺は怖いというより、普通に弱い人だと思うのだが？まだ右足も痛いし。

　ｍａｃさんが、枝豆を茹でてくれた。さらに美味しいお豆のミネストローネをふるまっていただく。ピリカラが実に旨いし、体が暖まる。

　雨はいつまで経っても降りやまない。

　会津中将も余市ウイスキーも絶品だ。したたかにヨッパになっていく。今宵、パビリオンの中の笑い声もいつ果てるとなく続いていくのであった。

　早朝に目覚めた。雨がまだシトシトと降っている。本当にしつこい雨だ。外は涼しいというより、少し肌寒い感じがした。

　車中泊していたリョウちゃんは、既に帰ったらしい。相変わらず回復力が速い。俺はまだ頭がボウっとしていた。気持ち悪いというより、心地よい気分だ。いかん、まだアルコホールが抜けきってない。

　炊事棟へ向かい、歯を磨いたり、顔を洗ったりしているうちにかなりすっきりしてきた。そして、ＭＳＲへ戻るとクッカーやナイフが汚れたままだったので、炊事棟へ踵を返し、片っ端から洗剤をかけてタワシで洗う。

　なんてやっていると、
「おはようございます。ずいんぶん早いんですね」
　まず、ヨッシーが起きてきた。
『ブルガリア製のナイフ、その他、このあたりのものは全部洗っておいたぞ』
「すいません」
『いや、なんも。しかしさあ、このブルガリアのナイフ、かなり切れ味がいいね。とても気に入ったよ』
「なんなら、差し上げますよ。もう１本あるし」
　本当かよ。なんだか催促したみたいで悪い。その代わり、俺のサバイバルナイフを進呈しようとしたら・・・
「このナイフ、昔、一緒に買ったものじゃないですか。私も同じものを持っています」
　あら、そうだっけ？とにかくヨッシー、ブルガリアのナイフありがとう。北のサムライの野営や山行の愛刀として、末永く正しく使わせていただこう。

　そのうち、Ｎａｇａさんもみんな早いなあと言いながら起き出してきた。

　実はＮａｇａさんと俺は、奇遇ながら同じ歳だ。彼の北海道歴は俺の比ではない。学生時代に北海道ツーリングへハマったのは一緒だが、大学卒業後に北の大地の企業へ就職してしまった。そして、宗谷支庁のとある町で十有余年の歳月を過ごした後、東京へＵターンしてきたのだ。生活の基盤まで北の大地へ移した勇気は凄い。

　おっと、これ以上は個人情報なのでむやみに書くのは控えることにする。

　ｍａｃさんもお目覚めのようだ。今さら語るまでもないが、アウトドア料理を含め、野営技術全般を通して、いや温厚で親切な人柄は誰からも慕われており、実質ＥＯＣ関連の指導者としての地位は誰もが認めるところであろう。

　そして一気に撤収作業へ・・・

　これから、岳温泉の名湯”岳の湯”で一風呂浴びようと思った。

　ところが・・・

　なにかを忘れている？

　あっ、そうそう、いちさんがまだ爆睡中だった。

「いやあ、よく寝た」
　ようやく、いちさんが起きてきた頃には、雨があがり始めていた。

　ここでは、いちさんの男気溢れるこれまでの生きザマは涙なしでは語れない。本当にあなたという人は・・・

　以前、本人のカミングアウトの真実を知った俺は、あまりの衝撃に愕然とした記憶があった。

　詳細は個人情報なので、とてもネットは書けません。

　ということで、全員の撤収作業が完了し、岳の湯に向かったが、開店？というか、営業前というか、つまり玄関が開く５分前に到着。暫し待ち、１０時少し過ぎには、熱い源泉の一番風呂に皆で浸かった。確かに熱いけど、熊の湯に比べれば全然楽勝だし、思わず熱いと口に出した入浴者に「帰れ」と罵倒したり、もっと熱くしてやると言いながら、かき混ぜる子供のような嫌がらせをする地元の性悪オヤジなど存在しない。

　美しい本当の空の安達太良の湯は、わざわざ遠くからいらした旅人へ普通に親切だし、とてもいい湯であった。

　源泉を満喫した後、大玉村Ｒ４沿いの家系ラーメン屋の”屯ちん”へ向かう。

　雨が完全にあがり、陽が射してくるワイディングを５機列なって、快適に走行していくとあっという間に”屯ちん”へ到着した。

　全国７位、ラーメン激戦区池袋１位を豪語する豚骨ラーメンは本当に美味しかった。また、ゆで卵やキムチ食べ放題のサービスも嬉しい。皆さん大満足の様子である。

　そして、解散！

　お世話になりました。また是非、お会いましょう！

　俺は、ｍａｃさんは勿論、Ｎａｇａさんやいちさんのキャンツーテクニックにはとても及ばないだろう。

　以前、たまたま年功で上司の位置にいた俺だけど、部下のヨッシーやリョウの輝くような聡明さへももちろん遠く及ばない。

　なんの取り得もないけど、俺なんかとおつき合いいただいている皆様へ素直に感謝しております。

　皆様あっての俺です。

　別れの挨拶を済ませ、Ｒ４の右折レーンをＵターンした。

　屯ちんの駐車場から、ｍａｃさんたちが、ずっと手を振ってくれている。

　Ｒ４バイパスのアスファルトからは、ほんの少しだけ大好きな夏の匂いが漂っていた。

ＦＩＮ

記事　北野一機

２０１０．３．１４ＵＰ

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