奥会津ツーリング

 平成12年10月7日(土)〜8日(日)


田子倉ダム

 20世紀も間もなく終わりを迎えようとする秋、キャンプツーリングも有終の美を飾ろうと奥会津への旅を思い立ったのだ。

 10月7日(土) 半ドンの出勤。速攻で帰宅し、そそくさとツーリングの準備をした。キャンプ道具の荷物の多さには、いい加減辟易するなあ。数多くの荷崩れ実績を誇る俺なのでパッキングは慎重を極める。

 用意も出来たので妻に見送られ、いざ出陣!家から2時間ほどの道の駅「つちゆ」をとりあえず目指すのだった。天気はいいけど肌寒いぞ。途中、山の中のドライブインで「うどん・そば・手作りの店」の看板を発見。かけうどんを食べて暖まろうっと。「手打ちうどん」だと期待したら「冷凍うどん」じゃねえか。騙したな、おばちゃん。も、もしや、いつも留守番の女房とつるんでるのか?・・・なわけねえかあ(笑)。何が「手作り」だ。コンコンチキめ!まあ、んでも暖まったから赦してやろう。それにしてもこんなサブイ日の夜に裏磐梯で野営かあ〜。ゾッとする気持ちを抑えながら壱兵衛(ゼファーイレブン)を駆った。

 土湯峠のワイディングをオネオネとクリヤーし、道の駅「つちゆ」到着。さぶー。とりあえず缶コーヒーを飲む。ここで家来と待ち合わせをする予定だが「こない」。もしや日頃の恨みで謀られたかと一瞬疑ったが、やや遅れてDSに乗るヨッシー登場。裏磐梯へ向かう。 

 磐梯吾妻スカイラインは、有料だしタケーからパスさせていただき、とりあえず猪苗代方面へ向かう。さすがに連休中だけあって交通量が多い。ライダーもかなり走っている。


道の駅「裏磐梯」にて
 キノコなどを販売する売店も商売繁盛。なぜかイワナの塩焼きが食べたくなった俺は、そのうちの一軒に立ち寄った。売店のおばちゃんがサービスでみそ汁をふるまってくれた。体が冷えてるので「う〜ん、うめえ」、おばさん、かたじけない。ヨッシーは、しっかりお代わりしとった。さすがキタノの従者だけはあるの〜。養殖物だろうけどイワナの塩焼きもおいしい。5百円也。満足!試食のトマトももちろんいただき「檜原湖」方面へ向かう。この付近は、たくさん野営場があるはずだが見あたらないなあ。道の駅「裏磐梯」で、しばし地図とにらめっこ。西湖畔へ右折してみるといくつかキャンプ場を発見する。そんな中、ざっと見た感じで「ママキャンプ場」に決定。700円の料金を寒いという理由で500円にまけてもらう。おばさん、ありがとう!もしかしてワイルドな俺に惚れたな・・・



テント設営完了

みそラーメンが旨い


 手慣れたもので、アッと言う間にテント設営完了。夕食はもちろん「喜多方ラーメン」しかないっしょ。俺は本来醤油派なのだが体が冷えてるので味噌を食べたい。家来も異存がないようだ。味噌といえば「大三元」。喜多方では定評がある。夕闇の中、壱兵衛を駆った。地図では近そうだが意外に距離がある。しかも市内に入っても場所が特定出来ない。信号待ちの時にルーズソックス姿の女子高生に訊ねたら「聞いたことあるけどわかんない」だそうな。ヨッシーが高校生相手にまた「説教」たれてると勘違いしたらしい。駅前のマップでおおよその位置をつかみ、ようやく「大三元」の暖簾をくぐる。「味噌チャーシュー」をオーダー。いや〜凄いボリュームだなあ〜。チャーシューもロースとバラ肉の2種類、すっかり満悦したぞ!帰りにアルコールを調達し、キャンプ場に戻る!寒いけど味噌ラーメンでかなり暖まった。

 


焚き火の準備をするヨッシー
 でも、あまりの気温の低さにヨッシーが薪を管理人さんのとこに買いに行った。管理人さんご一家はストーブを炊いて熱燗を煽っていたそうな。うらやましい。何で俺らこんなことしてんだあ?と自問してしまう。いきなり薪がきても簡単に火がつくわけない。俺は半ば諦めているがヨッシーは、バーナーに薪をあて強引に着火。何とか焚き火成功!ちと邪道だが、やるなあ〜。

 酒を飲もうとしたらマグカップ忘れてらあ。チッ。しょうがないからボトルでウイスキーを煽る。酔うわ、酔うわ、ふらふらだぜ。
 ヘビーキャンプといえば、「永久塾」、ネット仲間の「会長」と「食中毒さん」。よせばいいのに携帯からTELしてみる。コマンダーさんの番号は登録されてない!あれ〜。コマンダーさんは携帯なかったのかも?食中毒さんの方は、どうやら電車の中だったらしい。後でメールまでいただいたが、本当に急にTELしてすいません。あしからず。
 寒いので、なかなか寝付かれず深夜まで騒いでいたらしいが、もはや記憶も定かではない。とりあえず凍死せずに寝たのであろう。フフフ・・・


 10月8日(日) ふと目覚めると俺は寝袋に入ってない。焚き火の脇で寝ていたらしい。しかも火は消えている。寒くて目覚めたようだ。いや〜よく生きてたなあ〜。奇跡的だぜ。だいたい飲み過ぎなんだよ俺は・・・。ヨッシーも起きてきて、再び火をおこしている。モーニングコーヒーを飲んでテント撤収。おばさんに挨拶し出動。喜多方ラーメンを朝食にするつもりだ。
 喜多方市内で早朝営業のラーメン屋を物色したが、めぼしい店が見つからん。いろいろ回って超有名店の「坂内食堂」の暖簾をくぐった。朝から凄い混雑。何と行列が出来ている。しばし並んでネギチャーシューをオーダー。でてきたスープを一口。何だか味が薄いぞ。ヨッシーはちょうどいいと言っている。飲み過ぎて味覚障害になってるのかなあ〜

早朝のキャンプ場



湯倉温泉
 その後、只見川の景観を堪能(紅葉にはまだ早い)しながら奥会津の金山町に入った。ツーリングマップルによると無料の温泉が国道沿いにあるとか。おおよその目星をつけて橋を渡るとそれらしい建物があった。湯上がりのランクルのお兄さん達に「こんちは」と挨拶される。「ここは無料の温泉ですか?」って聞いたら「寸志程度を箱の中に寄付するんですよ」って教えてくれた。なるほどね。さっそく薄茶色の温泉に浸かる。やや熱めだがいい湯だのお〜体が冷えているので湯船から出たくない。ヨッシーは先に上がったが俺はもう少し粘る。そしたらおばさんや(-_-メ)のグループの皆さんと混浴するハメに・・・歓談したが。でもいいなあ、近くに無料の温泉があるって。
 充分に暖まり只見へ向けて出発した。このあたりは温泉郷が集中しているようだ。


 しばし走ると只見に到着。そして勇壮な「田子倉ダム」が見えてきた。底高145mの重力式ダムで湖底にかつてのマタギ集落田子倉が沈んでいるそうな。本当は奥只見湖まで足を延ばしたかったが二輪通行止めなので、ここで諦め駐車場に入った。発電所の真上から冒頭の画像を撮影したが、凄い高さだ。コワ〜イ。
 ツーリングのライダーも多いが、このあたりまでくると新潟ナンバーが目立つ。俺は売店で好物のアイスクリームをほおばった。フランクフルトを買ったヨッシーは、不味いと言って怒る。
 その後、もと来た道を引き返し途中から沼田街道に入った。

田子倉湖駐車場

 

 そろそろ会津でも新蕎麦のシーズンだ。蕎麦屋を物色しながら走る。伊南村で古い純正農家造りの蕎麦屋を発見。こういう建物の蕎麦屋はまず間違いなく旨い。さっそく入ってみたらご主人に「予約が立て込んでるからダメだ」と断られる。残念。潔く次の店を探そう。舘岩付近で大きな建物「曲屋」という屋号の蕎麦屋があった。駐車場にたくさんクルマが並んでいる。観光バスまで入ってくるのが気になるが有名な店らしい。中に入り「天ぷら蕎麦」をオーダーした。かなり待ってようやく蕎麦がでてきた。汁を口一杯に飲み込むと「味が薄い」、ヨッシーはそんなことないと言っている。やっぱり味覚障害なのかなあ?

 食べ終わり、駐車場に出ると天気が悪いぞ。ガスってきている。今日は、この先の川依キャンプ場に野営するつもりだったがどうしようかなあ。明日は天気予報でも降水確率100%。この時期天気が悪いはずないのに勝手に体育の日を変えた祟りかな。ヨッシーも乗り気じゃなさそう。ここは「勇気ある撤退」に決定。時間は15時を過ぎている。これから自宅に帰るには相当な時間を要する。進むも引くも過酷になりそう。

 山の日暮れは早い。明るいうちに会津若松に入りたい。田島、下郷と山中をひた走る。いわゆる「日光街道」だ。芦の牧温泉を過ぎた当たりのコンビニで休憩をとった。思ったより気温が高いので助かる。若松市街に近づくにつれ渋滞が始まってきた。すり抜け開始。荷物満載なので結構キツイな。すっかり暗くなった頃、高速道路に乗った。途中SAで2度ほど休憩をとり、サービスの熱い緑茶を飲んだ。暖かくて旨いのォ。

 高速の出口で、ヨッシーと別れ、阿武隈高原の山中を慎重に走る。暗いし、人家はないし、イノシシは出るし、恐怖におののきながら自宅に到着。時間は20時30分だ。今日は朝7時からゼファーに乗っているのだから相当走ったぞ(500キロ近い)。さすがに疲労困憊。俺にとって今世紀最後のキャンプツーリングは、やはり過酷なものとなって幕を閉じた。でも雨で撤退するようではヘビーキャンパーとは言えねえなあ。「ライトキャンパーキタノ」と言ったところだろう(笑)。ちなみに翌日の体育の日は終日雨だった。そして俺は体調を崩すのである(弱っ)

1泊2日 総走行距離約700キロ 




記事 北野一機