北のサムライがいく 東北ツーリング2017















激走500キロ!



 朝6時起床。ずっと雨音のような響きが聴こえていたけど、田んぼの中を流れる川のせせらぎだった。外は薄日が射していていて、なんとかお天気はもっている。

 じっくりと温泉に浸かった。実に心地よし。このままここに滞在したら、どれだけ幸せなことか。おっとそんなことを言ってはおられない。目指すは本州最北端だ。しかし、旅はまだ始まったばかり。あまりにも遠いなあ。大間崎。

 朝食は、これぞ旅館のご飯という感じで、もりもりといただく。歳をとってきて、そんなに食べられなくなってきたのだが、珍しくお代わりをした。

「雨にならなくてよかったね。今日は仙台ぐらいまでいくのかい」
 清算を済ませると受付のオジサンが訊いてきた。
『いや、盛岡までは行こうと思っています。お世話になりました。また来ます』
「えっ、そんなに遠くに行くんですか。お気をつけて」
 オジサンは驚いていたが、まあそんなにたいした距離でもないだろうなんて、高をくくっていたのだが、後々大変なことになるとはこの時は知るよしもない。

 パッキングを済ませ、谷山温泉8:20出発。

 R4を使わず、仙台市内をふらふらと迷走。かなり時間を費やして六丁の目交差点でようやく仙台バイパスに突入した。流石に交通量が多い。

 決して快晴ではない。薄日が射している状況ではあるが、順調に北上し、岩手県突入。平泉を抜け、水沢あたりで昼食。なにか土地の名物をでも食べればよいのに食欲がイマイチで、ガストのトマトスパゲティで済ます。





 花巻〜紫波を抜け、ついに盛岡へ到達する。時刻は15時半ぐらいだった。昔の筆者なら、何が何でも野営に拘っていたのだが、盛岡市内のビジホに泊まり、夜は近くの居酒屋に繰り出すべえというのも一興と考えるようになった。←つまりオヤジ化している。

 ところが、盛岡駅周辺がかなり混雑している。なかなか先に進まないし、非常に時間を浪費した。ようやく見つけた駅近くの大きなホテルが満室。その後も立て続けにビジホ泊を拒否される。

 まあ、なにも盛岡泊に拘ることもあるまい。これから八戸方面に向かい、キャンプ場があれば野営でもいい。なぜ青森市ではなく八戸市に向かうかというと、学生時代、どちらにもツーリングで訪れたことがあった。

 ちなみに青森市の時は、CBX400F。八戸市は、CB750Fに乗っていた頃だったな。どちらもいいバイクだった。本当になにもかもが懐かしい。遠い眼・・・

 ただ、八戸市からの北の海岸線ルート、つまり下北半島を通り、本州最北端大間崎が筆者の個人的なツーリングポイントの空白地帯なので、今回是非、制覇しておきたいと考えていたところだ。

 滝沢村あたりで、『相の沢キャンプ場』という野営場をマップルで発見するも地図と違い、小岩井農場のずっと先みたい。これでは遠過ぎると引き返す。またも時間とガスの無駄遣いであった。





 一戸あたりでついに雨が降ってきた。気温もかなり低下してきて寒い。コンビニで熱い缶コーヒーを飲んでカッパに着替えた。下からTシャツ・フリース・ジャンパー・ゴアのカッパ、これだけ着こんでも身体の芯から冷える。

 コンビニを出るとあたりは急速に暗闇になってきた。筆者は歳をとり、どんどん視力が低下している。つまり、夜間の長距離バイク走行は避けていたのだが、もうこうなっては致し方ない。先に進もう。

 
雨・低温・暗闇・危険!

 走行途中に宿泊施設は無いかと注意しながら走行していると宿泊可の怪しいドライブインがあり、一応、泊まれるかと訊くと満室とのこと。さらに名称は忘却したけど、〇〇温泉郷の立派な温泉ホテルらしきものへ宿泊交渉をすると「うちは老人福祉施設なんです」とにべもなく断られたりした。トホホ・・・

 真っ暗なR104を右折し、延々と八戸へ向かう。時刻は20時近い。

 しかし、八戸って遠いなあなんて呟いているうちにようやく市街地に突入した。学生の頃、友人とここまではツーリングで訪れたことはある。

 八戸市の繁華街は、八戸駅前ではなく市街地の方にあった記憶があるが、住宅地ばかりで繁華街が見当たらない。暫し、地図を見ながら考え込んでいると、地元のお姐さんが通りがかったので訊いてみた。

『すいません。八戸の繁華街はどのあたりでしょうか?』
「ここをまっすぐ行って新八戸駅を通り越し、西口の方へ出ると中心部へ出れますよ」
 ありがとうございます。助かりました。新八戸駅というのがあったんだ。それにちょっとしたエキゾチックな津軽訛りが素敵な方でした。





 ようやく新八戸駅の西口に出ると『ホテルパールシティ八戸』というビジホを見つけ宿泊交渉をする。するとラッキーなことにシングル禁煙5500円という部屋が空いていた。

 現在時刻20:20。盛岡でビジホ泊を立て続けに断られたので、本当にほっとした。駅前のガード下で雨の中野宿するなど現代人としてそれだけは勘弁して欲しい。

 しかし、本日は宮城県の村田町からへ青森県八戸市まで12時間も下道を走行したことになる。距離にしたら500キロ以上になるか。もう疲労困憊だ。身体が冷え切って震えがとまらない。腰も痛い。若い頃、柔道に明け暮れていた筆者だが腰を痛めたことなどなかった。それが少しひねると鈍痛が走るのだから、よほど疲労が蓄積しているのだろう。

 雨の中、コンビニ弁当とビールを調達して強引に胃に流し込んだ。暫くすると急速に睡魔が襲ってきて、今宵の筆者の意識は消えた。

 今回は八戸まで辿りつくのが精一杯で、夜は疲労困憊で繰り出せなかった。ちなみに30年前の今頃は、友人と八戸市内の居酒屋でベロンベロンになるまでヨッパになった記憶がある。しかし、そこが八戸のどのあたりで飲んだのかまったく思い出せない。

 うちのブログに投稿くださった方の情報だと、八戸は大概のお寿司屋さんが安くて美味しいそうだ。次回、また八戸で宿泊する機会があったら、是非お寿司屋さんを訪ねてみよう。



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