北のサムライがいく 東北ツーリング2017















十和田湖キャンプ



 8:30 ホテル『ニューグリーン』をチェックアウトする。駐輪場でパッキングを済ませ、外に出ると最初から結構きつい雨が降っていた。今日も1日雨なのかなとふと思った。

 ずっと雨の陸奥湾沿いのR279を南下していく。海上は濃霧に覆われていて寂寥感たっぷりだ。でもそんなロケーションも決して嫌いではない。奥の細道を旅してるなあって気分に浸れるもの。





 野辺地を過ぎR4に入る。これで下北半島一周完了。やがて浅虫温泉を過ぎると雨があがってきた。ちょっと休むか。サークルKがあったので、熱いコーヒーを飲んで眠気を覚ました。

 もうどこへ行っても天候が悪そうなので、盛岡方面に戻りツーリングを中止しようかとも一考したが、一時的かもしれないけど雨があがったのだから、当初の予定通り、青森市〜八甲田山〜十和田湖方面を目指すことにした。





 青森市の繁華街に入る。空は薄曇で決して晴天ではない不安定な雰囲気だ。前方にそびえ立つ八甲田山はガスがかっていた。

 とりあえず昼近い。ラーメン屋にでも入って腹をつくろう。市内から八甲田山へ向かっている途中で見つけたラーメン専門店『繁』に入った。

 人気のお店らしく、かなり混み合っていた。身体が冷えきっているので温まるのがいい。というわけで『味噌タンメン』をオーダーした。辛いパンチが効いていてやがて汗が噴き出してきた。なかなかいける。でも真夏のこの時期に食べるものなのか少し疑問に思うが。

 R103を走行していると、大きなホテルルートインが立っていた。本日もビジホ泊にして夜は飲みに出てはどうだろうか?いや、いかんいかん、雨が降ってないではないか。自分との闘いが続いていた。

 ほとんど十和田湖ゴールドラインを登り始めた頃、モヤヒルズというリゾートキャンプ場を発見。ここのキャンプ場でもいいのではなかろうか。いやいやまだまだ時間的に早い。

 そんなことを考えているうちに八甲田山頂が近づいてきた。劇的に天候が急変し、視界がほとんど効かない濃霧の中に入った。激しい風雨も。しかも寒いし。

 濃霧・風雨・寒さ・危険!

 くねくねとタイトコーナーが続き、クロスカブではきつい。奥入瀬渓谷では、この悪天候の中でも観光バスやマイカーがたくさん停まっていて、多くの人たちが渓流近くの散策路を歩いていた。こんなに増水しているのに落ちたらどうするのだろうと老婆心ながら心配してしまった。





 銚子大滝付近を通過し、約30年ぶりに十和田湖に到達。雨も少し弱まってきたような気がする。よし、キャンプ場を探すか。湖畔の道路を進むと『キャンプ場あり』という看板を見つけた。細い道へ右折し、暫く行くと管理棟が見えた。階段の下にマシンを停めて、受付で若い管理人さんからいろいろ説明を聴いた。

 1泊607円。シャワー・ランドリー有り。ゴミは分別して捨てられる。バイクで数分ぐらいのところに酒や食料を売っている売店あり。その売店の道路を挟んで向かいの温泉旅館は日帰り入浴可能。





 なんと条件の整った素晴らしい湖畔のキャンプ場ではないか。本日のキャンプ地とする。そうと決まれば、一時的に雨があがっている今この瞬間にテントの設営を急がねば。パキパキとテントを立てて、タープも張った。そしてすぐに雨が降り出した。ギリギリセーフ。

 傘を差して、周辺を散策してみた。綺麗な砂浜があるけど遊泳は禁止のようだ。もっともこの寒い中、泳ぐ人など絶対にいないと思うけど。とにかく晴れれば最高のロケーションである。

 ちなみに数日後、この付近で年配の男性が親子熊の母熊に襲われ指を骨折する事故が遭ったことを付記しておこう。





 雨の中、買出しにいく。焼酎、缶詰、パンなどで特に手の込んだ料理を作るつもりはない。お湯だけ温めてお湯割りにして飲んだ。しかし、寒いなあ。はく息が白いもの。熱い焼酎のお湯割りがとても美味しいとこの時期に思うなどおかしいことだろう。

 ラジオからはHBCラジオが流れていた。北海道の情報がどんどん伝わってきた。北の大地も天候がかなりよくないようだ。

 タープに時折、雨が激しく叩きつけてくる。

「東北のほとんどが、これからもずっと雨よ。福島市内も天気が悪い日が続きエアコンなんて使わなくたってぜんぜん平気なんだから。ただ日本海側は比較的安定しているみたい。そっちに向かった方が賢明かもよ」

 家人からのメールを読みながら、いつのまにかシュラフにくるまって意識が落ちていた。 






 朝、7時ぐらいに起床。

 昨夜、家人からのメールで、どこへ行っても天候が悪いという言葉が気になった。予定では、東北の内陸部を南下し、田沢湖方面に出てみようかと画策していたのだが、絶対に悪天候だと思う。

 まあ、湯を沸かし、コーヒーとパンの簡単な朝食をとる。ここで、あくせく動くより、休養を兼ねて1日停滞し、様子を窺うのもありかもしれない。1日開ければもしかしたら天候が好転するやもしれないし。

 ということで延泊を決意。ラジオで高校野球を聴きながら、昼近くまで2度寝をした。ダメ人間になってきたなあ。 

管理棟に連泊の手続きを済ませ、十和田湖の休屋という観光地へ向かった。お盆初めで観光客でごった返していたけど、某食堂で、十和田湖名物ヒメマスの塩焼き定食を堪能する。

 十和田湖といえばこれだろう。まあまあ旨い。若い頃、ドライブイン風のレストハウスで食べたマリネ風のヒメマスは絶品だったが、もう、その店の姿はアトカタもなかった。





 その後、温泉旅館に日帰り入浴をお願いしたら、15時からだとにべもなく断られる。仕方がないので、キャンプサイトの10分100円のシャワーを浴びた。

 そして、ビールを飲んでまた寝た。やっぱり、筆者はダメ人間になっている。

 夜、管理棟で薪を購入し、ファイアースタンドで焚き火をしてみた。連日の雨で木が湿っているせいか火のつきがとても悪い。トーチで強引にキャンプファイヤーにした。夏の寒空にとても優しい火の暖かさである。

 ウイスのお湯割りをちびりちびりと飲んでいるとだんだんと夜がふけていく。

 明日はどうしようなんて思っているうちに心地よく酔いがまわり記憶が尽きた。



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